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Dolls…
第12章 ゆるやかな崩壊



長く広い廊下をシュウちゃんを連れて歩き、辿り着いたのはこの屋敷のバスルーム。

ドアを開けると、そこは広くてお洒落な脱衣場。

およそ6帖ぐらいであろうか?

「何だよここ!旅館みてぇだな…」


大きな洗面台に大きな鏡、観葉植物まで飾られた脱衣場はさながら高級旅館のようなデザインだ。

その脱衣場を抜けると、またもや大きな浴室に辿り着く。


シュウちゃんの反応も無理はない。

私だって初めて見た時はこんな反応だった。


「お湯はもう溜まってると思うから」


いつも私が入る頃にはお湯が溜まってる。

恐らくハウスキーパーさんが溜めてくれてるのだろう。

ここのハウスキーパーさん、私はまだ見たことがないけど、いつも幽霊みたいに現れていつの間にか用事を済ませてる。

そしてまた、幽霊のように物音1つ立てずに帰って行く。

徹底してるんだな…。


シュウちゃんは初めて見る豪華な脱衣場に興味津々で、キョロキョロと辺りを見渡している。

確かに、普通の民家にしてはこの脱衣場は広すぎる。

ホテル経営でも出来るんじゃないかと思うぐらいの設備と面積。


「バスタオルはそこね。あと、浴室のタオルや備品は好きなものを使っていいと思うから」


あちこちを指差しながらシュウちゃんに脱衣場の説明をする。

私も初めてここを使うときは椎葉さんにそうやって説明された。

ここにあるシャンプーやボディソープはどれも高級そうで気が引けるけど、ここの浴室には男性が使うトニックシャンプーなんてないみたいだし。

「それじゃ、また後で。お風呂から上がったらまた私の部屋に来てね」

「え…?お前の部屋…?」

その言葉にシュウちゃんの顔が一瞬、驚いた表情になった。

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