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Dolls…
第12章 ゆるやかな崩壊
私の手を引き椎葉さんは私を脱衣場に連れ込んだ。
「ちょ…」
足で踏ん張ろうにも血の気が引いてるせいか力が出ない。
しかし、脱衣場の中に入るとそこにシュウちゃんの姿はなかった。
恐らくもう既に浴室に入ってるのだろう。
ホッとしたが、いつまでも椎葉さんと2人でここにいたらシュウちゃんに見つかってしまう。
女性と違って男性の入浴時間は短いだろうし、いつシュウちゃんが戻って来るかもわからない。
「シュウちゃんが戻って来るかも知れないです…。は、離して下さい…っ」
慌てて椎葉さんの手を振り払おうとするが、椎葉さんの腕の力が強すぎて…。
椎葉さん、何のつもりでここに来たの?
シュウちゃんに嘘を付いて誤魔化したのに、もしここでバレたら…。
「お願い…、椎葉さん…っ」
シュウちゃんに聞こえないようにヒソヒソ声で椎葉さんに訴えた。
こんな喧嘩をしてる所、シュウちゃんに見られたくない。
早く、シュウちゃんに見つかる前に…っ
慌てて脱衣場から出て行こうと椎葉さんの腕を逆に引っ張り変えそうとした…
バンッ!!
「━━━━━っ!!」ビクッ…
突然、私の真横に響いた壁を殴る衝撃音。
私の体を壁に追いやって、私の逃げ場を無くすかのように片腕を壁につき通せんぼ状態にしてしまった。
その音とその動きに私の体が一気に強張る。
何とか悲鳴は押さえたが、今の音、シュウちゃんに聞こえたんじゃ…?
「随分、仲がいいんだな。"シュウちゃん、シュウちゃん"って」
「え……?」
椎葉さんの顔が、体が、密着するように私の近くにある。
壁と椎葉さんの体に挟まれて、怖くて動けない。