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Dolls…
第12章 ゆるやかな崩壊
仲がいいって、だってシュウちゃんは私の小さい頃からの幼馴染みだ。

仲が良くて当たり前だ。

でも、何で椎葉さんがこんな…。


「だって、シュウちゃんは幼馴染みで…」

「あ?」

「………………っ」


椎葉さんの睨むような目が私に突き刺さる。

この目…、この目は…。

私は知ってる。

椎葉さんがこの目をする時は何かを企んでる時だ。

そうじゃなくてもこの状態は普通じゃない。


でも、椎葉さん…、どうして…?

さっきまで優しかったのに、どうして…?

私の中の警告音がけたたましく鳴り響く。


これじゃ━━━━━━。



「お前、あの部屋で、俺が来なかったらあの男に何をいうつもりだったんだ?」

「………え?」

「ここから逃がしてもらおうとしてたんじゃないのか?ん?」

「そ、それは…」





図星だ。

私はシュウちゃんにここから逃がしてもらおうとした。

助けを求めようとした。

だけど、結局は出来なかった。

何故かはわからないけど、シュウちゃんに全てを話すことが出来なかった。

何かが喉につっかえて、何も話せなくなってしまって助けを求める事が出来なかった。


「大した女だな。お前の悲鳴が聞こえたから心配して部屋に行ってみりゃ、男を連れ込んでたんだから」

「連れ込んでたんじゃ…」


あの時、稲光が差し込んだ廊下でシュウちゃんを見つけた瞬間、怖くて驚いて、シュウちゃんと気づかず逃げ惑いながら叫んだ。

椎葉さんの名前を叫んでた…。


椎葉さんには、私の悲鳴が聞こえてたんだ。

それで私の部屋に駆け付けてくれたんだ。


それじゃあ、椎葉さんは私がシュウちゃんに助けを求めようとした現場を見てたんだ。

あの時、偶然現れたように見せかけて、ずっと私とシュウちゃんの様子を見てたんだ。






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