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Dolls…
第12章 ゆるやかな崩壊
まさか…、この現場をシュウちゃんに見られたんじゃ…。
椎葉さんの動きも止まった。
「シュ、ウちゃ…」
怖い。
シュウちゃんにバレて、シュウちゃんの声が聞くのが怖い。
怖いながらも、私は何とか首を動かした。
シュウちゃんの姿をこの目で確認しようと首と目線をゆっくり恐る恐る動かしシュウちゃんを探した。
私を見てるシュウちゃんの顔を確認するのが怖いけど、でも…。
でも、言い訳ぐらいはさせて欲しい。
シュウちゃんの姿を確認しようとすると━━━━━
「そこにいるのは椿か?」
シュウちゃんの姿は脱衣場にはなかった。
その変わり浴室のドアの向こうからシュウちゃんの声が聞こえる。
あ…っ、シュウちゃん、まだ浴室にいるんだ。
どうやら何かしらの物音に感づいて声をかけて来たらしい。
私のこの姿を見た訳じゃなくて物音を聞いただけっぽい。
「椿?」
よかった…。
この現場を見られた訳じゃないんだ。
よかった…。
ホッとした瞬間に全身の力が抜けたが、逆にこの状況で何と返事をすればいいかわからない。
どうしよう…。
「あ━━━━━」
何か返事をしないとシュウちゃんに変に思われる。
だけど、このまま聞こえない振りをして無視をしたら怪しんだシュウちゃんが脱衣場に出てくるかも知れない。
どうしよう…。
「椿か?どうした?」
━━━━━キュッ。
シャワーの蛇口を捻る音が聞こえた。
シャワーを浴び終えた証拠だ。
と、言うことは、もうすぐシュウちゃんがここに来てしまう。
ど、どうしよう…。
全身から嫌な汗が吹き出てくる。
このままじゃ、バレてしまう。
シュウちゃんに全てがバレてしまう…。
もうおしまいだっ。