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Dolls…
第14章 幼馴染み
「早く逃げてよ!」

しかし、シュウちゃんはドアの方を向いたまま動く気配がない。

私の声も届いてないように思うが…。

今、もし椎葉さんがここに来たら一貫の終わりだ。


「ねぇ!シュウちゃ…」

「…ふざけんな」









……っ?

背中を向けたままのシュウちゃんから聞こえたその声は、今までにないくらい低く、怒りを露にしたかのような口調。

シュウちゃんとは思えぬその声に私の体がビクッと萎縮した。

シュウちゃんの様子が何かおかしい。




「あ…」

「"ここに残る"?…ははっ。ふざけんじゃねぇよ」




話しかけようと発した言葉はシュウちゃんの声に掻き消され飲み込まれてしまう。

呆れたような声が響く。

だけど、シュウちゃんのその雰囲気が何故か異常に恐い。


「俺が、どんな思いでここまで来たと思ってんだ…!?」

「そ、れは…」

「あんなシーンを見せつけられて、黙って帰れって!?冗談じゃねぇっつーの!」


その事については弁解の余地もない。

シュウちゃんの気持ちを思えば私は最低だ。

シュウちゃんの言葉1つ1つが私の胸にグサグサと刺さるようだった。

言われても仕方ない。

雨に打たれながらこんな不気味な山奥の屋敷まで私を探しに来たのに、その張本人に"帰れ"なんて言われたら怒って当然だ。


「わ、わかってる…。だけど、ごめんなさい…っ!本当に…」

今の私には謝るしか出来ない。

このまま許して貰えず、シュウちゃんに2度と会えなくなったとしても今の私に出来ることは謝ることだけだ。

「ごめんなさ…」

「俺が欲しいのは、そんな謝罪じゃねぇんだよ…っ‼」










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