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Dolls…
第15章 その愛、凶器につき
シュウちゃんも椎葉さんの気配と、後頭部に感じる銃口の感触に気づいたのか指の動きを止めた。
「し、いば…さ…?」
シュウちゃんの頭に銃口を突き付けてるこの光景は、まるで映画そのものだ。
本当なら焦らなきゃいけないところなのに、頭がちゃんと回転しない。
だけど、銃口を突き付けられているシュウちゃんの表情は至って冷静。
驚いて悲鳴を上げる事もなければ焦る様子もない。
「…鍵はかけたはずですが?」
「この屋敷の主の俺が合鍵を持ってないわけないだろう?」
椎葉さんは合鍵を使いこの部屋に入って来たみたいだ。
だけど、椎葉さんの声も、シュウちゃんを睨む目も、今までにないほどの殺気を感じる。
下手すれば、本当にこのままシュウちゃんを撃ち殺してしまいそうな程に。
「椿から離れろ。そのままゆっくり両手を上げろ」
「はいはい…。仰せのままに」
シュウちゃんは椎葉さんに言われた通り、私の中からずるりと指を抜くと私の体から離れていった。
そして、両手を肘から曲げて上に上げ
ベッドに膝をつく体勢で椎葉さんに背中を向け続けている。
私は指を抜かれた瞬間の感覚に身を震わせたが、ただ黙ってその光景を傍観していた。
頭はまだ回転しないが、それより何より、シュウちゃんに拳銃を突き付けている椎葉さんが堪らなく恐かった。
「椎葉さん…っ」
「お前は黙ってろ。こそ泥の肩を持つ気か?」
「そんな…」
椎葉さんの声はいつにも増して怒っていて
その声のトーンに圧倒されて、私は何も言えなくなってしまった。
「さて。俺のモノに無断で手を出したんだから、それ相応の覚悟は出来てるんだろうな?」