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Dolls…
第16章 誘惑の果て


玄関ホールの近くを通った時






━━━━━「何しに来たんだ!帰れっ!」






「……え?」

突然、廊下中に響き渡るような怒鳴り声が聞こえてきた。

椎葉さんの声だ。







いきなり聞こえた椎葉さんの大きな怒鳴り声に驚き私の足が止まった。







━━━━━「つれねぇなぁ。俺とお前の仲じゃん!」






椎葉さんの声の後に聞こえた聞き慣れない男性の声。






椎葉さん、誰かと話してるの?

もしかして、業者が来たのかな?

でも、業者さんの声なら何度か聞いてるけど、こんな声じゃなかったような…。







━━━━━「お前が来るとロクな事がないんだ!さっさと帰れっ!」

━━━━━「遠路遥々来てやったのに、帰れはねぇんじゃねぇの?」






声が反響してよく聞こえないが、どうやら声は玄関ホールの方から聞こえて来るようだ。

椎葉さんが誰かと喧嘩してるっぽいけど

聞こえて来るのは男性の声だし、いつかの奈々さんじゃないよね?

でも、業者さんじゃなければ一体誰だろう?

いつも冷静な椎葉さんがこんなに声を張り上げるなんて何があったんだろう?





━━━━━「何が遠路遥々だっ!ふざけるのも大概に…っ!」

━━━━━「ふざけてねぇって。相変わらずキレてばっかだな、お前」






私は無意識のうちに玄関ホールへと進路を変えた。

だって、こんな山奥の屋敷を訊ねて来る人なんて早々いやしない。

椎葉さんお抱えの業者さんと

椎葉さんを愛してる奈々さんと

私を探しに来てくれたシュウちゃんぐらいだ。

その他にこの屋敷を訊ねて来る人なんてどんな人だろう…。








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