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Dolls…
第16章 誘惑の果て
持ち上げた服を畳直し紙袋に入れて私は自室に戻ることにした。


紙袋を中身を全部確認した訳じゃないが、入ってるのは服だけじゃなさそうだ。

他にも、この服に合いそうなボンネットやチョーカーなんかも入ってる。

部屋に戻っていろいろと着替える準備をしなきゃならないのだ。

こういう服は着慣れてないせいもあって自力で着るとなる時間がかかってしまうから。










こんなふうに、椎葉さんの屋敷のあちこちを好きに移動してる。

この屋敷にもだいぶ慣れたが今でも下手をすれば迷子になってしまいそうだ。

ここに残ると決めた割りには毎日毎日意味もなくただダラダラと過ごしてるだけ。

時間が過ぎるのを待つだけの毎日。

生きてるのか死んでるのかすらわからない。


でも、もし生きてるとすれば私は誰のために、何のために生きてるんだろうか…?



そんな途方もない疑問を抱きながら私の毎日はただ過ぎていく、

毎日、意味もなく…。












書斎から自室に帰るにはあの玄関ホールの近くを通らなければならない。

今となっては椎葉さんも私を見張るようなことはしてないし、この隙にでもあの玄関ホールから逃げ出せるはずなのに、それすらも出来ない。

何かが私の足を止めてる。

その何かの正体がわからないまま。

その何かが私の足を止めて、シュウちゃんの助けすら拒んでしまったのだ。


この何かの正体がわかった時、私は私のままでいられるのだろうか?


言い知れぬ恐怖に支配されながら私は足を早めた。

逃げても逃げても付いてくる得体の知れない何か。

その何かが怖くて、逃げるようにと自室へ戻ろうとした時だ。








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