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Dolls…
第17章 悪魔のささやき
2人は一体、何を話してるの…?
ドアに手が届く距離まで辿り着いた。
どうする?
今なら耳を塞いで聞かなかったことにも出来る。
だけど、ここまで来たのに今更後には引けない。
ドアを1枚隔ててるだけで少しでも音を立てれば2人にバレてしまうほどに近い距離。
バレたらまた盗み聞きかと責められるだろうけど。
「…………っ!」
怖い気持ちと、知りたい気持ちが入り交じる。
━━━ドックン、ドックン…。
ゆっくりと
全神経を集中させて気配を殺し、聴覚を研ぎ澄ませ
ドアに耳を当てた。
椎葉さんと安藤さんの声がより一層近くに聞こえる。
「尚人、お前がどう思おうが勝手だか俺はここを出るつもりはないし今の仕事を辞める気もない」
椎葉さんの声だ。
椎葉さんの声、凄く近くに聞こえる。
本当に、このドアのすぐ向こう側に椎葉さんがいるんだ。
「お前ねぇ…。いつまでもこんな所に閉じ籠ってる気だ?そのうち体にカビが生えるぞ?」
今度は安藤さんの声。
安藤さんの声もすぐ間近に聞こえる。
「構うか。俺は今の生活に不満はない」
「お前はそれでいいかも知んねぇけど、椿ちゃんが可哀想だって言ってんのっ!こんなお化け屋敷みたいな家に閉じ込められて…」
…何、この会話。
部屋の中、ドアに耳をくっつけながら私は倒れそうになっていた。
安藤さんがこんな所に閉じ籠って人形ばかり作っている椎葉さんを心配してるみたいだ。
そこまで深刻な会話じゃなくてホッとして、緊張の糸がぷつりと切れた。