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Dolls…
第17章 悪魔のささやき
安藤さんって何と無く怖い人だと思ってたけど、本当はいい人なのかも。
こんな山奥の屋敷にまで遊びに来てくれて、屋敷に閉じ籠ってる椎葉さんの心配もしてくれて、私の心配までしてくれてる。
思ってるより人間味のある優しい人なのかも知れない。
盗み聞きしたとは言え2人の会話はそこまで深刻なものじゃなかった。
どうして私の部屋の前で言い合ってたのかはわからないが、ここは偶然を装って部屋から出て行き2人の言い合いを止めた方が良さそうだ。
このままじゃ埒が空かないし、この会話は堂々巡りを繰り返しそうだから。
椎葉さんと顔を合わすのは気まずいがいつまでもこのままってわけにもいかないし、と
ドアから耳を離すと、ふぅっと一息を付き心の準備をして、気を引き締め2人の前に出て行こうとドアノブに手をかけたその瞬間
「…まだ気にしてんのか?お前の母親の事」
え…?
母親…?
安藤さんの声にドアノブを回しかけた手が止まった。
母親…?
母親って何?
椎葉さんのお母さんの事…?
何…?
何の話…?
収まったはずの心臓が再び、ドクンドクンと脈打ち出した。
「…気になんかしていない。昔の事だし終わった事だ」
椎葉さんの声。
ドアに耳をくっつけなくても、この距離感ならはっきりと聞こえる。
聞きたくない会話まではっきりと…。
「嘘つけ。母親の事を引きずってるから、嫁や彼女も貰わず作らずこんな所に閉じ籠ってんだろうが…」
「興味がないだけだ…っ」