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Dolls…
第17章 悪魔のささやき
「そう…、だったんですか…」
奈々さんの気持ち、痛いぐらいにわかる。
私もそうだ。
人形を作る為のモデルと言っても、あの目で隅から隅まで隈無く、細部まで見つめ続けられるんだ。
椎葉さんのあの人形のような瞳で見つめられ続けると、全てを見透かされてる気分になって…。
奈々さんの気持ちは痛いぐらいにわかる。
「でも、秋人はあの通りの変人だから!告白した奈々をあっさり振ったんだ。"尚人の元へ帰れ"とか言って。秋人は生きた人間より人形の方がいいのかもね~」
「…確かに、変な人ですよね…」
安藤さんは明るい笑顔を見せながら暗い話を何とか明るくしようとしてくれている。
椎葉さんは奈々さんを選ばなかった。
椎葉さんのあの言葉は本当だったんだ。
椎葉さんにとって奈々さんはタイプじゃなかったのかな。
「それでも奈々は秋人を諦められなくて必死に気を引こうとしてた。男に振られたのが初めてだったらしいから余計に燃えたのかもな」
「ヨリは…、戻さなかったんですか?」
「秋人が奈々を振たって聞いた時は内心ホッとした。奈々は俺の元へ帰って来るんじゃないかって思って。だけど、奈々は帰って来なかった。…奈々の頭の中には秋人の事しかなかったからな」
「俺もバカだよな~。友人に惚れた女を待ってたんだから」
安藤さん…。
…これは私の勘だけど、安藤さんは今でも奈々さんが好きなのかも知れない。
平気な振りをして私に話してくれてるけど、本当は…。
「最初は秋人を恨んだけど、よく考えたら秋人から奈々に手を出した訳じゃない。奈々が勝手に惚れただけ。秋人を恨むのは筋違い。だから秋人には何の恨みもないけど、秋人は俺に気を使い続けてるんだよ…」
「つい"俺から奈々を奪った"なんて、売り言葉に買い言葉で返しちゃったけど…」