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Dolls…
第2章 運命



「その目だ。俺が見たかったのは」



不意に男の声が聞こえた。

男はボロボロになった私の姿を見て何やら満足げにニタリと笑っている。



何…?

何を見たかったの…?

こんな、ボロボロになった女の姿が見たかったの…?




「絶望と悲哀に満ちた目。死装束が似合いそうな生気のない瞳」




絶望と悲哀?

生気のない瞳…?

当たり前だ。

ムリヤリに奪われた今、生きた心地がしない。

この人は…、それが見たかったの…?

その為だけにこんな酷いことをしたの…?



心が凍ったみたいだ。

涙すら枯れ果てたようで、一滴すら流れ落ちない。




「改めて…、俺の名前は椎葉 秋人。覚えておけ」



ぼんやりしながら私は男の声を聞いていた。

聞く、というより勝手に耳に入って来てるだけだけど。



しいば、あきと…?

あ、この人の名前か…。

あんな事をした後に自己紹介?

いや、もう名前なんてどうでもいい。

ただ私は…、この屋敷に近づいたことを後悔してるだけ。




「ゆっくり休め。お前には明日からいろいろ役に立って貰うつもりだからな」





明日…?






ああ、そうだ。

早く帰ってこの洋館のデッサンをしなくちゃ。

スケッチブックやキャンバスいっぱいにこの洋館を描くんだ。

その為にこんな山奥まで来たんだから…。



なのに、何で…?

何で私は半裸で縛られたままベッドにいるの?

何でこんなに心と体が痛いの?

どうしてこんなに、心が凍ってるの…?








ねぇ、私は今

ちゃんと生きてるの…?



























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