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Dolls…
第19章 泣きながら、あなたを…
「椿ちゃんの事探してたんだ。あの…、俺、変な事言っちゃったから」

やっぱり、私の事を探してくれてたんだ。

でも、何で…?

っていうか、変な事って何?

もしかして、奈々さんの事かな?

あれは私が聞きたかった事だし、安藤さんは私の質問に答えてくれただけだし、変な事って程じゃない。


「あの…、奈々さんの事なら私は別に…」

「あっ、いや。奈々の事じゃないんだ!つーか、奈々はもういいんだ!椿ちゃんと話してるうちに"俺いつまで引きずってんだよ"って、何かある意味うんざりして来ちゃって」

そう言って安藤さんはあははと明るい照れ笑いを見せてくれた。

その笑顔には一点の曇りも見えなかった。


よかった…。

あんな辛い事を思い出させて私の方が罪悪感を感じてた。

今の安藤さんには迷いや曇りは一切見えない。

本当に吹っ切れたみたいに見えた。


「俺が言いたいのは、その…、あ、秋人の母親の事で…」

「あ…っ、あぁ、それ、ですか…」


照れ笑いから一転してバツの悪そうな表情を浮かべる安藤さん。

その表情と台詞に私の心もハッとした。


奈々さんの事じゃなくて椎葉さんのお母さんの事か。

そう言えば、椎葉さんのお母さんの事は安藤さんの口から聞いたことだった。

私の部屋のドアの前で言い争ってる時に聞こえて来たんだっけ。


「あの…、ごめんね。秋人に聞いた方がいいなんて言って…」

「え…?」

「いや、あの秋人が素直に母親の話をするはずがないから…。もしかしたら不機嫌になる可能性もあるし…」


…なるほどね。

不機嫌とかそんなレベルじゃなくて2度と母親の事を詮索するなと言わんばかりに弄ばれた所だ。






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