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Dolls…
第20章 別れの背中

椎葉さん…。
椎葉さん…。
静かな部屋の中で1人、布団にくるまりベッドに座り込んだままで考えるのは椎葉さんの事ばかり。
窓の外はもう真っ暗。
もう夜なんだ…。
椎葉さんにがっかりと言われてから今まで、食事も取らずにこのまま。
お腹は空いてるのに…、何も食べたくない。
私の気持ちは椎葉さんにとっては邪魔なだけだった。
私はただのモデルだとハッキリ言われてたはずなのに…。
自分の気持ちを知って欲しかった、口に出してしまった…。
バカみたいに先走って、私の存在は人形のモデルだけじゃないと自惚れて、椎葉さんに告白して
結果、椎葉さんに見限られてしまった。
「あんな人、大嫌いなのに…」
大嫌いだった。
大嫌いなはずだったのに、いつの間にか私の中で椎葉さんの存在がこれほどまで大きくなっていた。
「…うっ、ひっ」
止まっていたはずの涙が再び溢れ出す。
さっきも泣いたのにまた涙が…。
このままじゃ干からびてしまうんじゃと思うぐらいに。
泣いても泣いても足りない。
次から次へと溢れ出す想い…。
椎葉さん…っ。
すると…
━━━━━ガチャ…
私の部屋のドアが開いた。
「……っ!?誰…?」
ドアが開いた瞬間、私の胸が高鳴った。
椎葉さん…?
私の部屋のドアを開くのは椎葉さんしかいない。
身を乗り出すようにドアの方へと視線を向けた。
「……あ、椿ちゃん」
「あ、安藤さん…」
ドアから顔を出したのは椎葉さんではなく安藤さんだった。
……椎葉さんなわけないか。
そりゃそうだ。
だって、私は振られたのだから…、椎葉さんが来てくれるはずがない。

