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Dolls…
第20章 別れの背中
「あ、安藤さん…?」

「今日は疲れたでしょ?ゆっくり休んで。返事はまた明日聞きに来るから」

「え?ちょ…っ」




私の引き止める声も聞かずに安藤さんは部屋を出て行ってしまった。






部屋に残された私の頭の中はぐちゃぐちゃ。

というか、一気にいろんな事が起こりすぎて私の頭は容量オーバーして考えがまとまらない。

この事態を処理できるほどに思考はまだ回復してない。





椎葉さんに振られたその夜に、椎葉さんの幼馴染みの安藤さんにこの屋敷を出ようと誘われた。

だけど、私はまだ椎葉さんの事を気にしてる。

でも、この気持ちは椎葉さんに届く事はなく、私の心はずっと泣いてる。





「私、もう…、でしゃばりません…。大人しくしてます…」




独り言のようにそう呟いた。

聞こえるはずのない椎葉さんのへの想いを。




もう、変に探ったりもしない…。

自分の気持ちを口に出したりもしない。

ただ、黙って人形のようにそこに座ってるだけでもいい…。

椎葉さんの傍にいたい…っ。






その時、奈々さんの言葉が脳裏に過った。

記憶の片隅に追いやったあの日の奈々さんの言葉。






"いつか秋人に飽きられる"

"ボロボロにされて捨てられる"

今、奈々さんの気持ちが痛いほどわかる。

こんな惨めな想いをしながらも、私の心も頭も椎葉さんが支配してる。






こんな惨めな想いをしてる夜でさえ、私は椎葉さんが欲しい。






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