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Dolls…
第21章 あなたが教えてくれた
━━━━━━コンコン、ガチャ…。
「あれ、椿ちゃん。どうしたの?こんな夜中にいきなり…」
完全に椎葉さんに拒絶された私は、安藤さんの部屋のドアをノックしていた。
ドアを開けると少しびっくりした顔の安藤さんが、ベッドに寝転びながら本を読んでいた。
「……その本」
「あぁ、これ?この屋敷の書斎で見つけたミステリー小説。この屋敷は小説ぐらいしか娯楽がないから」
椎葉さんに拒絶された私…、一体何をしようと言うのか…?
ただ、これ以上椎葉さんのそばにいたくなかった。
これ以上、椎葉さんのそばにいたら辛くなるだけ。
傷つくだけ…っ。
「どうしたの?何かあった?目が真っ赤だけど…」
もう、辛いのは嫌だ…。
忘れたい…。
何もかも忘れたい…っ。
椎葉さんの事も、この屋敷の事も
椎葉さんとこの屋敷で起こった情事も全部…っ。
「もしかして、秋人に何かされたの?泣いてたんじゃ…」
ベッドから降りようとする安藤さん、それよりも私はいち早く安藤さんの元へ駆け出していた。
「椿ちゃ…っ!?」
椎葉さんに拒絶された悲しみを誰かで埋めようなんて、私は最低だ。
だけど、早く忘れたかった。
胸の苦しみも、痛さも忘れたかった。
それが無理なら、めちゃくちゃに壊れてしまいたかった。
気づくと私は、安藤さんの胸に飛び込んでいたのだ。
「えっ!?ちょっ、ど、どうしたの…?」
私の肩に優しく手を置いた安藤さんだけど、声は何処と無く焦っている。
もう…、壊れてしまいたい。
何も感じない人形のように…。