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Dolls…
第23章 危険な香り
何やら残念そうに溜め息をついた安藤さんはソファから立ち上がりチャイムを鳴らした主を確かめようと玄関の方へ向かった。







だが、1人残された私の心臓は未だに鳴り止まずドキドキしっぱなし。






安藤さん、まさか私の事を…?

私を椎葉さんのところから連れ出してくれたのは単に私を助けようとしてくれただけだと思ってた。

あの屋敷にいたら今以上に私が傷つくからだと。

けど、違った。

理由はそれだけじゃなかった。

私を椎葉さんの元から連れ出してくれた理由…、安藤さんは私の事が…?





そこまで考えた瞬間、またしても私の脳裏を過ったのは椎葉さんだった。





あ…、ど、どうしよう椎葉さん…。

私が好きなのは…、今でも私の心のど真ん中にいるのは椎葉さんだ。

それに、安藤さんは椎葉さんの幼馴染みで親友。

その親友の安藤さんに、私…。


だけど、こんな悩みは全て徒労に過ぎない。

私は椎葉さんに振られた身だし、椎葉さんからすれば私が誰に好かれようが誰のものになろうが知った事ではないだろう。

引き止める事もなく私をあっさり安藤さんに手渡したのだから。




そんな事を考えていると、何やら大きな段ボールを抱えた安藤さんがリビングに戻って来た。

「ごめんね~。椿ちゃんに似合いそうな靴を注文したことすっかり忘れてた」

それは、安藤さんが私の為にとネット購入してくれた靴のようだった。

今玄関のチャイムを鳴らしたのは宅急便屋さんだ。


「椿ちゃんに似合うといいんだけど」

段ボールを床に起きながら梱包された段ボールのガムテープをビリビリと外していく。


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