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Dolls…
第23章 危険な香り
髪を洗って体を洗うとさっきまで湯気が立ち込めていた浴室にフルーツ系のいい香りが漂い始めた。
恐らくシャンプーとボディソープの香りだろう。
泡を流して髪の毛のお湯を切り全ての作業を済ませたあと浴室のドアを開けると外気の空気が体に触れてひんやり冷たい。
先程、洗濯篭に脱いだはずの衣類はなくなっており変わりに安藤さんが用意してくれたバスタオルと白のTシャツと黒のジャージズボンが入れられていた。
…ここしばらく下着らしい下着はつけてないが、まぁ仕方ない。
用意してくれたバスタオルを頭からかぶり髪の毛の湿気を取り除いていく。
背中の真ん中までの長い髪。
今はタオルドライだけで充分だ。
体を拭き身体中の水滴を全て拭い去った後に安藤さんの衣類に袖を通す。
安藤さんが愛用している整髪料の爽やかな香りが鼻を突いたがそれがとても心地いい香りに感じた。
「お風呂、ありがとうございます」
リビングに戻ると安藤さんはソファに腰をかけながらテレビのバラエティ番組を見てくすくす笑ってる最中。
「あ、お湯加減どうだった?」
「…よかったです」
本当は湯船には浸かってないけど…。
しかし、安藤さんの目がテレビから私に向けられると…
「髪の毛、まだびしょ濡れじゃん!ドライヤーしなかったの?」
「時間がかかるので後で…」
こんな長い髪をお風呂上がりのびしょ濡れ状態のまま乾かしたらかなりの時間がかかる。
せめて少しぐらい自然乾燥させてからの方が乾きが早い。
いつまでも浴室を占領するわけにも行かないし。
「じゃぁ、俺も風呂にでも入ろうかな♪」
安藤さんがソファから立ち上がりグッと背伸びをした。
晩ごはんも食べたしお風呂も入ったし、後は眠るだけだ。