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Dolls…
第23章 危険な香り
『ところでお前…、こんな時間でそんな所で何してんだ?』

「え?」

『そこ、尚人の部屋だろ?俺は間違いなく尚人の部屋にかけたはずだ。…まさか、お前が出るなんて…、びっくりして開いた口が塞がらなかった』




……そこで何してるって…?

確かにここは安藤さんのマンションで安藤さんの部屋だけど。

だって、それは椎葉さんが"安藤さんのとこへでも行け"とか何とか私を突き放して、それで見るに見兼ねた安藤さんが私を連れてここに…。




『お前、まさか…』

「え…?」

『……そこで、尚人と住んでるのか?』




椎葉さんの声が一瞬暗くなった。

それは、椎葉さんが怒ってる合図だ。




え…?

だって、椎葉さんが…。

え?何、どうして…?



だって、あの時…



あの日の記憶が甦る。

思い出したくもないあの日…。




"安藤さんが俺と来いって"

"…好きにしろ"





確かに椎葉さんはそう言った。

私の心を抉り取ったあの台詞。

だから、私は安藤さんとここに…。




『…尚人は?』

「だから、安藤さんは今お風呂に…━━━━━ツー、ツー、ツー…」





と、突然、電話がいきなり切れて電話の不通音が受話器から流れていた。

あれ…?

電話が切れた?と、思うや否や私の背後に佇む誰かの気配を感じふっと振り返ると、そこにいたのは…




「あ、安藤さ…」

髪から水滴をポタポタと滴らせ上半身は裸にズボン1枚を身につけた安藤さんが立っていた。

安藤さんの手は電話の終話ボタンに伸びていて私と椎葉さんの会話を遮るように電話を切ってしまったのだ。











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