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Dolls…
第23章 危険な香り
養う…?私を…?

何の事を言ってるのかわからなかったが、この状況で頭をフルに回転させて気づいたことがある。



もしかして、私が部屋と仕事を見つけてここを出て行くと言ったあの言葉?

今朝、私が安藤さんに言ったあの台詞のことを言ってるの?

だけどそれは当然のことだ。

私は今はただの居候の身なのだから、いつかは出て行かなくちゃならない。

安藤さんに養ってもらう権利なんかない。

私と安藤さんは何の関係もないのだから。


「だ、だってそれは…」

「駄目だよ、俺の元を離れちゃ。また傷ついちゃう」

そう言うと安藤さんは私の頬に優しく人指し指を這わせて来た。

私の頬を伝う水滴を拭うように。



傷つく…?

私が?何故傷つくの…?



「安藤さ…」

「もう俺のそばから離れるなよ━━━━━━━奈々」





━━━━━━━━え?











安藤さんの口から出た名前。

それは、奈々さん。













今、安藤さんの口から出た名前は私の名前じゃなく奈々さんの名前だ。



今、安藤さんは確かにハッキリと"奈々"と。









………まさか、安藤さん。

私を通して奈々さんを見てるの…?

奈々さんと同じように椎葉さんに振られた私を奈々さんの変わりにしようとしてるの…?

あくまでも私の空想だけど、現に安藤さんの瞳には私は移ってない。


安藤さんは私と奈々さんを重ねて見てるんだ。





「あの時は、ただ情けなく奈々の背中を見守ることしか出来なかったけど、今度は大丈夫。俺がちゃんと守るから」






やっぱり、安藤さんは…っ。















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