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Dolls…
第24章 秘密の人形
今すぐにでも椎葉さんの元に帰りたいのに、足に巻き付いてる鎖のせいで身動きが取れない。
私が閉じ込められてる部屋は玄関からは1番遠い部屋。
台所やトイレには行けるがその奥にある玄関には辿り着けないように長さを調整されている。
リビングにあった固定電話も、助けを呼べないように取り払われてしまったし
つまり…、私は今、完璧なまでの絶体絶命状態というわけだ。
これでこのまま安藤さんが帰って来なかったら私はこの部屋で餓死確定なのだから。
椎葉さんは、私が椎葉さんの事を怨んでると本気で信じてるのだろうか。
椎葉さんの屋敷に監禁されてた当初は怨んでいたけど、今は違う。
今は…、愛してる。
その言葉しか見つからないほど、椎葉さんの事を…。
「し、椎葉さ……っ」
思い出しただけで涙が溢れる。
それほどまでに私の心の中には椎葉さんが住み着いてる。
そう簡単に嫌いになんてなれない。
椎葉さんに拒絶された身だけど、私はまだこんなにも……っ。
「ふ、ぐす…」
椎葉さんの事を考えただけで涙が溢れる。
今この部屋には私しかいないのだからどれだけ泣いても誰にも見られないし誰にもバレない。
「ぐす…っ、ん」
寝返りを打ち仰向けから俯せになり枕に顔を埋めながら声を押し殺すようにして泣いた。
誰も見てないし、誰に遠慮しなきやならないわけでもないのに、必死に声を押し殺した。
だって、もし声を出して泣いたら今まで我慢してた想いが溢れて壊れてしまいそうな気がしたから。
椎葉さんへの想いが氾濫して、止まらなくなってしまうから。
溢れたところで今の私にはどうすることも出来ない。
だから、声を押し殺して
同時に自分の気持ちをも押し殺して泣くしか出来なかった。