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Dolls…
第24章 秘密の人形
何かをする気にもなれず待ってる時間がやけに長くて、暇潰しのつもりで本棚に並べられている漫画を手に取った。
タイトル…、結構有名な少年漫画みたい…。
本棚には漫画しか並んでない。
椎葉さんの屋敷には漫画なんかなくて難しそうな小説ばかりが並べられていた。
…別に漫画が嫌いな訳じゃないけど、少年漫画は読む気になれなかった。
一冊を手に取りパラパラとページをめくってみたが、漫画を読む気分にはなれない。
足に巻き付いた鎖が鳴る度に否応なしに現実に引き戻されてしまうから。
特に何かをするわけでもなく暇を持て余したまま、気づくと窓の外の空はすっかり茜色に染まっていた。
時刻は夕方の18:00過ぎ。
そして…
━━━━━ガチャ…
玄関のドアが開く音が聞こえた。
「ただいま」
安藤さんのご帰宅だ。
玄関から聞こえる足音は真っ直ぐにこの部屋に向かっている。
「ただいま、椿ちゃん」
私の部屋のドアを開けるといつものにこやかな安藤さんが顔を覗かせた。
笑顔を振り撒きながらベッドに寝転ぶ私に話しかけて来る。
「ご機嫌いかが?」
「…いいわけないでしょ」
この状況でよくそんな台詞が言えたものだ。
それとも、嫌味のつもり?
安藤さんから顔を反らしてベッドに寝転んだまま素っ気ない返事を返した。
「今日さぁ、帰りにスーパーに行ったら牛肉がすっげぇ安かったんだ。最近寒くなって来たから晩飯はすき焼きにしようと思って」
「はぁ…、好きにして下さい…」
まるで何事もなかったかのように恋人のような会話を繰り広げられてしまうが…
私がその会話に参加するとでも思ってるのだろうか?
…しかも、晩ごはんの話なんて。