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Dolls…
第4章 瞳の奥
私はちゃんとした生きてる人間なんだ。
ガチャ━━━━━
「………っ!?」
「気に入ったか?その人形」
ドアの開く音と共に再びあの男が表れて、ベッドに座り込み人形の写真を眺める私に話しかけてきた。
「…………。」
「どうした?」
私はただ、何も言えなくなっていた。
この人形を気に入ったかどうかと問われれば、そりゃ綺麗な人形だとは思う。
この男の才能を認めざるを得ない。
私が知らないだけで本当は凄い人なのかも知れない。
…私にしたことは許せないけど。
「腹減っただろ?飯にしよう」
「え?ご飯…?」
よく見ると男の手には木製のトレイが握られており、そのトレイからは美味しそうな食事の香りが漂っている。
昨日、晩ごはんも食べずにここに来たから確かに空腹だ。
その香りに思わず喉をゴクリと鳴らしてしまいそうになる。
「男の料理だから味の保証は出来ねぇけど」
「…男の?」
って、事はこの人が作ったってこと?
じゃぁ、この広い屋敷に1人で住んでるのだろうか?
ご両親や奥さんやお手伝いさんもいないのかな?
トレイごとベッドの上に置いてくれた。
サンドウィッチにポタージュスープ、カットされたオレンジ。
「あ…」
「洋食は嫌いか?」
「…いえ、いつもは和食だから、洋食に慣れてないだけです…」
いつもは白いお米にお味噌汁に適当におかずを作って、って、節約料理ばかり食べてる。
こんなお洒落な食事なんて何年ぶりだろう。
こんな男の施しなんて受けたくないけど…。