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Dolls…
第24章 秘密の人形
覚悟は出来たつもりだった。
どんな交換条件を出されても飲み込むつもりだった。
一生ここで暮らせと言われても…、受け入れようと思った。
「━━━━━教えて、下さい…っ」
椎葉さん…。
私は椎葉さんに振られた。
それどころかもう2度と会えない人。
なのに、私は何故椎葉さんの事を聞き出そうとしてるのだろう。
安藤さんの手から逃げられなくなるかも知れないのに。
それでも、知りたい。
何かを決意したかのような目で私は安藤さんの目を見据えた。
そこに、躊躇いや迷いなどは微塵も感じさせないほどに。
すると、安藤さんは再びニコリと笑うと笑顔のまま溜め息を付きながらゆっくり立ち上がった。
「んー、今は無理」
「な…っ!」
今は無理…?
何よそれっ!?
っていうか、こっちは覚悟を決めて"教えて"と頼み込んだのに…
そんなオチならここまで悩まなかったのに。
つーか、この人…、本当は何も知らないんじゃ…?
単に私をからかって遊んだだけなんじゃないの?
怒りでワナワナと震えつつ、拍子抜けまでしてしまい、疑いの眼差しで安藤さんを見つめると
「じゃなくて、話せば長くなるしここで話すのも何だから…、椿ちゃんは部屋に戻っててよ。コーヒーでも飲みながらゆっくり話そう」
「コーヒーって…」
コーヒーを飲みながら楽しく談笑するような話でもないでしょう?
なのに、コーヒーって…。
安藤さんのあまりの余裕に私の怒りは徐々に上昇して行く。
だけど、ここで安藤さんに腹を立てても仕方無い。
安藤さんの言う通りにした方が懸命だ。
言うことを聞かなかったら気分を害して話してくれなくなってしまう。