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Dolls…
第24章 秘密の人形
「でもさ、何でそんなに秋人のお母さんの事が気になるの?」
「…え?」
「だって、椿ちゃんは今俺のマンションにいて鎖で繋がれてる。秋人にはもう会えない。なのに、秋人のお母さんの事を聞いてどうするの?」
……確かにそうだ。
自分でもわかってる。
だけど、この状況を作ったのは誰でもない安藤さんだ。
安藤さんが教えてやるって言ったからで…。
「わ、私の勝手です…っ!」
「くすくす…。そうだね…」
何なのこの人。
教えてやるって言った割りにはさっきから勿体つけるみたいになかなか話してくれないまま。
やっぱり私の事をからかってるだけなのかな?
それとも、私の事をからかう余裕があるってことは私が心配してるような事情じゃないのかな?
もっと単純な…、心配するような内容じゃないのかも。
ホッとしたように体の緊張が少しだけふっと和らいだ。
安心したかのようにマグカップを更に傾けてキャラメルラテをゴクゴクと飲み込んだ。
すると安藤さんは小さな声でぽつりぽつりと語り始めた。
椎葉さんのお母さんの事を…。
「初めて秋人の母親に会ったのは8歳ぐらいの頃かな?秋人の家に遊びに行った時に初めて見た。元々病弱な人で入退院を繰り返してたらしくてあまり家にいなかったらしくて…。でも、秋人の母親なだけあって凄く綺麗な人だったよ」
何と無く予想は出来てたけど、やっぱり綺麗な人だったんだ。
病弱だったって言うのは初めて聞いたけど。
「秋人の父親も人形師だったんだけど、秋人に自分の後を継がせたくて小さい頃から人形作りに関してはスパルタ教育を受けてたんだ。それこそ、俺らみたいに外で遊ぶことも許されないほどに。そんな秋人が唯一甘えられたのが母親だった…」