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Dolls…
第24章 秘密の人形
━━━━━━っ!!
その一言を聞いた瞬間に私の胸は引きちぎられそうになった。
そうであって欲しくなかった。
今もどこかで元気に暮らしてるって、そんな答えを心の中で祈ってた。
まだ幼かった椎葉さんを残して、先に━━━━━。
「それからだよ。秋人が塞ぎこんで今みたいな性格になっちまったのは…。母親が生きてた頃はよく笑う性格だったのに…」
唯一のやすらぎを失ったんだから無理もない。
それからずっと、お父さんと暮らしてたのだろうか。
厳しいお父さんと2人で…、ずっと…。
「まぁ、父親ももう亡くなってるけど、秋人は最期の最期まで父親を憎んでたんじゃないかな?母親の見舞いすら行かずに仕事に打ち込んで、秋人にムリヤリ後を継がせたんだから。…わかったか?もう満足したか?」
これが、私が知りたかった真実…?
椎葉さんとお母さんの間にあった確執?
誰にも話さず椎葉さんが隠し続けた過去?
私は、こんな悲しい過去を知りたかったのか…?
「うっ、ひっく…」
「知りたかったんでしょ?」
知りたかった。
椎葉さんの全てが知りたかった。
だけど、こんな悲しい過去を知ることになるなんて…。
貪欲な好奇心で探るべき過去じゃなかった。
生まれて初めて、本気で自分を恥じた。
…言葉すら出てこない。
椎葉さん…。
椎葉さん…。
今、椎葉さんに話したいことがいっぱいあります。
椎葉さんに伝えたいことがいっぱいあります。
椎葉さ━━━━━。
「さて。約束通り全部話したんだから…、もう黙ってろよ」