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Dolls…
第25章 最後の真実
安藤さんは…、椎葉さんの屋敷で毎日不安と戦ってた私に取っての向日葵みたいな人でした。
椎葉さんとは違って底抜けに明るく笑う安藤さんに何度助けられ癒されたかわからない。
あんなに最低だと思ってた安藤さんとの記憶が次々に甦って来る。
そして、私の胸を締め付けて行く。
━━━━━ごめんなさい、安藤さん…。
ふっと、体に感じる冷気に気付き顔を上げると…、そこはマンションのエントランス。
いつの間にか部屋の外に出ていた。
「あ、いつの間に、外に…」
「ついさっき。お前はずっと俺の腕にしがみついてたけど」
「あ………っ」
私ずっと、心の中で安藤さんに謝ってばかりだったから気づかなかったんだ。
しかも、椎葉さんの腕にしがみついていたなんて…、情けないような恥ずかしいような。
マンションから出ると、そこには見たこともない真っ黒な高級車が停められていたが
一目で椎葉さんの車だと言うのがわかった。
後部座席のドアを開けるとジャージでくるんだ私を優しく寝かせるように座席に下ろしてくれた。
「…あの」
「お前、ちゃんと食ってなかったのか?」
「え…?」
「ずいぶん軽くなってる」
……そう言えば、ろくに食べてなかった。
椎葉さんと離れてから食欲なんて湧かなかったし、体重も測る気にならなかったし。
「あ、あんまり…」
「そうか…」
椎葉さんに助け出されて、椎葉さんの腕に抱かれて…、本当は幸せなはずなのに
今更だけど、何だか気まずい。
何を話せばいいのかわからない。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと椎葉さんは後部座席のドアを閉めると運転席に座るわけでもなくどこかへ行ってしまった。