この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Dolls…
第26章 Dolls…
━━━━━ドクンッ
え…?
椎葉さんの母親…?
これが…?
胸が高鳴る。
椎葉さんの手の中のロケットを見てみると、そこに嵌め込まれた女性の顔写真。
ふわふわの栗色の髪の毛に大きな瞳。
小さな顔写真でもわかる、奈々さんにも負けないぐらいの綺麗な人。
しかし、私はこの女性に見覚えがあった。
椎葉さんのお母さんなんて、会ったこともないのに…。
「この女性…」
「以前、俺の作業部屋で見たことがあるはずだ」
━━━━━そうだ。
いつか、奈々さんと鉢合わせして、その後一悶着あって
思わず逃げ出してしまい、たまたま逃げ込んでしまった椎葉さんの作業部屋の机の上に飾られてた写真立ての女性だ。
まさか、これが…、椎葉さんのお母さん…?
こうやって改めて見てみると、椎葉さんのお母さんというのも頷けるほどの美人だ。
あの写真立てで見たときの衝撃は忘れない。
優しそうで綺麗で、肌なんて雪みたいに真っ白で透き通ってて…。
これが、椎葉さんのお母さん。
「ガキの頃に亡くなったがな」
そう。
安藤さんに聞かされた。
椎葉さんにとっては心の拠り所だったお母さん。
こうやってロケットに入れておくほどに大切な存在だったんだ。
「あ、安藤さんに聞きました…。椎葉さんにとって凄く大切な存在だった、と」
「…そうか。ただ、これだけは言っておく」
そう言うと椎葉さんは開いた掌を閉じロケットをズボンのポケットにしまい込んだ。
"これだけは言っておく"って、何…?