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Dolls…
第26章 Dolls…
誰も愛さず、誰かを愛することもない。

愛なんて脆くて、気付けば自分の手から溢れ落ちてしまう。

そんなふうに悟ってる弱々しい椎葉さんを置いて私だけ幸せになんてなれるはずがない。

私は、椎葉さんと幸せになりたいの。

椎葉さんじゃなきゃダメなの。








「私は、椎葉さんを愛してません」














「……つ、椿?」

溢れる涙を堪えながら椎葉さんを見つめた。

私の言葉に面食らったような椎葉さんの表情。




私は椎葉さんのそばにいられるのなら何だってする。

何者にだってなれる。

椎葉さんの為なら鬼でも、非情な女にでもなれる。





「嫌いです、椎葉さんなんてっ!無神経で自分勝手で、淫らで乱暴で…っ!大嫌いですっ!!」

私の肩を持つ椎葉さんの手を振り払い、今まで言うに言えなかった椎葉さんの不満をぶちまけた。

初めて会ったときの椎葉さんに感じたこと。

今じゃそんな事はもう思ってないけど…。


「い、一体何を…━━━━っ!」




まるで頭の中の糸が切れたかのように、気付けば私は椎葉さんの首に手を回し椎葉さんの唇を奪っていた。

椎葉さんが私に教えてくれた深く、官能的な口づけ。

そこには恥ずかしさなんて微塵も感じなかった。




「な、何を…」

私は椎葉さんの恋人にはなれない。

当の椎葉さんは恋人という存在を作る気すらないのだから。

だったら、私は━━━━━




「私は椎葉さんの囚人です」

「な……っ」

「椎葉さんにとって、私は囚人です。ただの人形ですっ!」




私はここにムリヤリ囚われてる囚人で、椎葉さんの作品の為だけに存在してる人形に過ぎない。

だって、本来私がここに捕まった理由は人形のモデルをする為だったはずだ。




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