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Dolls…
第5章 静かな晩餐
「何でよっ!!何で繋がらないのっ!!」
シャワーを浴び、人形だらけのあの部屋に戻された私。
ドレスに着替える為に脱いだジーンズのポケットに携帯電話が入ってるのを思い出し助けを呼ぼうとしたところ
"圏外"
せっかくのチャンスだったのに、あまりのショックで携帯をベッドに投げつけたのだ。
せっかくのチャンスだったのに…。
昨晩、この部屋に拉致された時はパニックで忘れてた携帯電話の存在。
最近の携帯は薄型だからジーンズの後ろポケットに入ってる事すら気づかなかったし、もしかしたら椎葉さんに没収されたかもと思ってた。
現に私をスタンガンで襲った時、携帯を握り締めていたし。
シャワーを浴びてこの部屋に戻って来る時は椎葉さんは一緒に来なかった。
あの写真を現像する為にどこかへ行ってしまった。
この部屋までの道順は覚えていたから何とか辿り着けたけど…、もし逃げ出そうとして椎葉さんに捕まったら今度は何をされるか。
それに、こんな広い屋敷の中じゃ右も左も、方角さえわからない。
出口を探すためとは言え安易にうろちょろ出来ない…。
それに…、椎葉さんが用意してくれた着替えというのが…。
「くしゅん…、寒い…」
男物のカッターシャツ1枚だった。
少し大きめのカッターシャツ。
私が着ればまるでワンピースみたいにブカブカだ。
風邪を引くとか言ってた癖にこの格好じゃ…。
「はぁ…」
ベッドにもたれるようにその場に座り込んでしまった。
…今、何時だろう。
窓から見える空は茜色で夕方だと言うことはわかるけど。
結局、今日は無断欠勤してしまった。
……今はそれどころじゃないけど。