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Dolls…
第5章 静かな晩餐
梓、心配してるかな…。

近々、東京のパスタ屋さんでランチしようって約束してたのに。

来ちゃいけないって言われてたこの屋敷に近づいたばかりにこんな目に…。

自業自得だよね…。


人形ばかりに囲まれたこの部屋にも少し慣れた。

たった一晩しか過ごしてないけど、昨晩ほど不気味さは感じなくなっていた。

慣れたくないけど、こんな状況に…。


部屋中に並べられた人形を眺めているた



ガチャ…キィーッ…


「……………っ」

部屋の扉が開き誰かが入ってきた。

って、この屋敷にいるのなんて1人しかいないけど。

「待たせたな」

「…別に、待ってません」

やっぱり、椎葉さんだった。

ドアが開く音に驚いて目を向けてしまったけど、それが椎葉さんだとわかった瞬間にまた目を反らしてしまった。


…こんな人、本当に大嫌い。


「食事の準備が出来た。ダイニングの方へどうぞ」


え…?

ダイニング…?

食事…?


不思議に思い椎葉さんの方へ視線を戻した。


「どうした?食事に誘うのがそんなに不思議か?」

「いえ…」


そうだ。

この人だって人間なんだから、そりゃ食事ぐらいするだろう。

ただ、びっくりした。

私に酷いことを繰り返す残酷な瞳のこの人が、私を食事に誘うことが。

この拷問屋敷の中でそんな日常的な一瞬が垣間見えたのが。

「さっきは体力を使って疲れただろ?空腹なんじゃないのか?」

「…………っ」

この人の言葉の端々には何と無く棘があるように思う。

宙吊りにしたのは、この人本人だ。

「お腹空いてません。食欲ないんです…」

ふっと椎葉さんに背を向けた。

誰がこんな人と食事なんか…。




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