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Dolls…
第5章 静かな晩餐
骨と皮だけで悪かったわね。

人形だけしか興味のない男性に生きてる私の体の事をとやかく言われたくない。

「人形以外の体に興味があるんですか…?」

瞳を伏しながら嫌味を投げつけた。

この人が人形以外のもの興味を示すなんて到底考えられないんだけど。


それに、私の体は骨と皮だけじゃない。

どちらかというと標準体重なはずだけど。

だからと言って胸が大きい訳じゃないし、ウエストだってそんなに細身って訳じゃないけど。


「俺は確かに人形にしか興味ないが、生身の女性の美しさぐらいはわかる」

「……そうですか」



だったら尚更、不思議だ。

それくらい普通の美的感覚があるならもっと他のモデルがいたはずだし私をモデルにする理由がない。

一体この人は私の何がいいと言うのか…。


「だったら、私をモデルにしなくても…」

この人になら…、と喜んでモデルになりそうな女性は沢山いそうなもんなのに。

空っぽの胃にムリヤリ食事を押し込んでいく。

食べ物を飲み込むのを拒否する食道を必死に動かしながら…。

食べなきゃ、体も心も保たない。





「お前は綺麗だよ」

「━━━━━っ!!…ゲホッ、ゲホッ」




は…っ!?

今、この人…、何て言ったの…?

私が…、綺麗っ!?



突然の言葉に、食道を通らせようとした食事が詰まって一気に噎せ返ってしまった。

「ゲホッ…、ゲホッ…」

「おい、大丈夫か?」

「大、丈夫…っ!」

その言葉に驚いて食べ物が詰まって、息が出来ない…。

食道すらその言葉に驚いたみたいだった。


慌てて水を飲み食道に詰まった食事を流し込んだ。


…びっくりした。

息が詰まるかと思った。





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