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Dolls…
第5章 静かな晩餐
椎葉さんの目があまりにも真剣で…、思わず怒るのを忘れてしまったぐらい。

…私が綺麗だなんて、本当に思ってるの?

こんな人に言われたって嬉しくない。

…嬉しくもなんともないっ!

…嬉しくないはずなのに…っ!


心臓がうるさいぐらい高鳴る。

昨日会ったばかりのこんな悪魔みたいな人に、綺麗だと誉められたぐらいで…

何でこんなにドキドキしてるのよっ!

この人が私に何をしたか、わかってるはずなのに…っ。



会話も何もない静かなダイニングで、今にも私の心臓の音が聞こえそうになる。

静まれと祈る反面、さっきの椎葉さんの台詞が頭の中で繰り返されて、忘れたくても忘れられない。

さっきとは違う意味で食事が進まない。

ムリヤリながらお肉を半分ほど食べたところで食が進まなくなった。

椎葉さんが急に変なこと言うから…っ。



「………………………。」



何の会話もなくて、ただ時間だけが過ぎていく。

ナイフやフォークが食器とぶつかるカチャカチャという音だけが響いている。

何だか…、気まずい。

まるで学校の体育館ぐらいの広さはあろうかというこの広いダイニングに気まずい空気が充満して今にも窒息しそうだ。

椎葉さんは慣れてるかのように何も気にせずワインを飲みながら食事してるけど、私は…。



「…………あの」

「ん?何だ?」



この沈黙の空気が気まずくてつい椎葉さんに話しかけてしまったが、話すことなんか何もない。

何もないのに…、どうしよう。

口を開いたからには何か話さなきゃ…。

「あの…っ」

どうしよう…、何を話そう…。

「どうした?言いたいことがあるなら言え」





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