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Dolls…
第5章 静かな晩餐
「べ、別に…」
嫌な汗が額に滲む。
この部屋の熱さのせいかと思ったが、体感温度は間違いなく寒い。
寒いのに、何で額に汗なんか…。
「お前、顔色悪い…」
「え…?」
この距離なのに、よく私の顔色まで見えるものだ。
私は椎葉さんの顔色なんて全く見えない。
ナイフとフォークを持つ手が震える。
熱いのか寒いのかすらわからない。
「お前、まさか風邪でも引いたんじゃ…」
「そ、そんな訳…」
風邪…?
あ、でもそう言えば…、昨日は乱暴された後に半裸に近い格好のまま眠ってしまった。
後で椎葉さんが衣類を整えたみたいだけど、その間は汗だくの体のまま外気に肌を晒し続けた。
今日だって濡れた体であのひんやり冷たい地下室にいたし、その後はロクに髪も乾かさずに部屋に戻って…。
ダメだ、頭がボーッとする…。
風邪をひく要因は確かに多かったけど、でも━━━━
「大、丈夫です…。風邪なんか…」
「バカかッ!顔が真っ青だし体だって震えてるし」
席から立ち上がった椎葉さんが大股歩きで私のもとへ近付いて来た。
近寄らないでよ、この変態…、と大声を出そうとしたが
「こっちに…来ない、で━━━━━━━━」
ドサッ
「椿っ!?おい、しっかりしろっ!!」
私の体は椅子から転げ落ちてしまった。
床に叩き付けられた衝撃と、私の名前を呼ぶ椎葉さんの声。
それだけはハッキリとわかった。
けれど、そこから先は覚えていない。
椎葉さんがいつまでも私の名前を叫んでるけど、その声すら段々遠ざかって行く。
「椿っ!!椿っ!!」
軽々しく私の名前を呼ばないで…。
彼氏や親友や両親でもないくせに呼び捨てにしないで…。
薄れ行く意識の中で私は何度もそう軽口を叩いていた。
嫌な汗が額に滲む。
この部屋の熱さのせいかと思ったが、体感温度は間違いなく寒い。
寒いのに、何で額に汗なんか…。
「お前、顔色悪い…」
「え…?」
この距離なのに、よく私の顔色まで見えるものだ。
私は椎葉さんの顔色なんて全く見えない。
ナイフとフォークを持つ手が震える。
熱いのか寒いのかすらわからない。
「お前、まさか風邪でも引いたんじゃ…」
「そ、そんな訳…」
風邪…?
あ、でもそう言えば…、昨日は乱暴された後に半裸に近い格好のまま眠ってしまった。
後で椎葉さんが衣類を整えたみたいだけど、その間は汗だくの体のまま外気に肌を晒し続けた。
今日だって濡れた体であのひんやり冷たい地下室にいたし、その後はロクに髪も乾かさずに部屋に戻って…。
ダメだ、頭がボーッとする…。
風邪をひく要因は確かに多かったけど、でも━━━━
「大、丈夫です…。風邪なんか…」
「バカかッ!顔が真っ青だし体だって震えてるし」
席から立ち上がった椎葉さんが大股歩きで私のもとへ近付いて来た。
近寄らないでよ、この変態…、と大声を出そうとしたが
「こっちに…来ない、で━━━━━━━━」
ドサッ
「椿っ!?おい、しっかりしろっ!!」
私の体は椅子から転げ落ちてしまった。
床に叩き付けられた衝撃と、私の名前を呼ぶ椎葉さんの声。
それだけはハッキリとわかった。
けれど、そこから先は覚えていない。
椎葉さんがいつまでも私の名前を叫んでるけど、その声すら段々遠ざかって行く。
「椿っ!!椿っ!!」
軽々しく私の名前を呼ばないで…。
彼氏や親友や両親でもないくせに呼び捨てにしないで…。
薄れ行く意識の中で私は何度もそう軽口を叩いていた。