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Dolls…
第5章 静かな晩餐
確か、椎葉さんと食事中に倒れたんだっけ…。
で、ここは━━━━…
ふっと見ると、私はベッドに寝かされていて、額には冷却シートが貼られていた。
…あ、そっか。
ここはあの人形の部屋で、ここはその部屋のベッドの上。
でも、どうして私はベッドに…?
もしかして、椎葉さんが運んでくれたの…?
この冷却シートも椎葉さんが?
ベッドの傍らで私の顔を覗き込む椎葉さんの顔を見ながら、ふっと思った。
まさか…、椎葉さんが…?
いや、そんなはずない…。
こんな酷い人が私の看病をしてくれるはずがない…っ!
違う…、でも…っ。
熱で火照る顔。
熱い体に激しい動悸…。
「しばらく寝てろ」
まさか、これは本当に椎葉さんが…?
私をここまで運んでくれたの…?
胸のドキドキが鳴り止まない。
「あの、もしかして…、椎葉さんがここまで…?」
この人がここまで運んでくれたの?
あのダイニングからここまで?
冷却シートを貼ってくれたり、ベッドに寝かせてくれたり…
全て、椎葉さんが…?
すると、椎葉さんはバツの悪そうな顔をすると私から目を背け、ベッドにもたれるようにその場に座り込んだ。
私に背中を向けて、そのまま…。
でも、その背中は妙に淋しげというか…、言葉に詰まってるというか…。
「悪かったな…」
「え…?」
「そんなカッターシャツ1枚じゃさすがに寒かっただろ?俺のせいだ。悪かった」
━━━━━━…っ!
言葉に詰まった。
この服を用意したのは椎葉さんだ。
こんな寒い山奥で、いくら室内と言えどカッターシャツ1枚はさすがに肌寒い。
こんな服しか用意しなかった椎葉さんのせいと言えばそうだけど…。