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Dolls…
第6章 甘い嫉妬
椎葉さんの背中で小さく震える彼女。
きっと泣いてるんだ…、彼女の嗚咽が聞こえる。
健気で、可愛くて、スタイルもいい完璧な女性。
椎葉さんだって男なんだ、あんな綺麗な人にあそこまでされたらきっと━━━━━━━。
「………泣けば俺が堕ちるとでも?」
「……………っ!!」
━━━━━━━っ!!
予想に反して聞こえて来たのは、氷より冷たい凶器にも似た椎葉さんの声。
「あ、秋人…?」
「俺は、俺を想って流す涙に興味はない。俺を愛してるとほざく女にも興味はない。つまり、お前にはもう何の興味もない」
抱き付いた彼女の手を握り、まるで死刑宣告でも言い渡すかのような声色で彼女を睨み付けている。
彼女の表情までは見えないが、彼女の足がじりじりと後退りを始めた。
「あ…、あ…」
「さっさと消えろ」
……私、知ってる。
椎葉さんを怒らせたらどうなるか。
その人に取って、最も屈辱的な行為でその人を追い詰めていく。
私を縛り上げて宙吊りにしたように、きっとあの彼女にも何か酷いことをするつもりなんだ。
彼女もそれをわかってるのか、ガタガタと後退りを始めてる。
「あ…っ、いやぁぁぁぁっ!!」
━━━━━バタンッ!!
玄関ホールから、玄関のドアを開けて彼女は逃げるように出て行ってしまった。
この世の終わりかのような悲鳴を上げながら…。
その場に残された私は…、体を震わせながら身を隠すしかなかった。
ど、どうしよう…。
成り行きとは言えとんでもない会話を盗み聞きしてしまった…。
っていうか、私も私であの女性に助けを求めればここから出られたかも知れないのに
何をこんなところで2人の会話を聞きながらモジモジしてんのよっ!