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Dolls…
第6章 甘い嫉妬
………でも椎葉さん、あんな綺麗な女性に言い寄られても見向きもしなかった。
それどころか、聞いてるこっちが凍りついてしまいそうなほど冷たい言葉と態度で彼女を突き放してしまった。
タイプじゃなかったのかな…?
それでも、あんな綺麗な女性を振るなんて…。
その場で動けずに座り込んでいると━━━━━
「他人の会話を盗み聞きするとは…、あんまりいい趣味とは言えないな」
「━━━ひっ」
突然、大きく響いた椎葉さんの声。
まさか、ここは完全に死角になってるはずだと思いチラリと顔を覗かせると…
「風邪はもういいのか?」
「あ……」
私がいる曲がり角を見上げてる椎葉さんと目が合った。
私がここにいたこと、椎葉さんにはバレてたようだった。
どうしてここにいるのがわかったんだろう…?
っていうか、ヤバい…。
私がどうしてここにいるのかとか聞かれたら…、逃げようとしてたことがバレてしまう。
それに、盗み聞きしてたことすら最早バレてる。
どうしよう…。
この状況じゃどんな言い訳も通用しない…っ。
「こんなところで座り込んでたら風邪がぶり返すぞ」
ふっと見ると、いつの間にか座り込む私の傍らに椎葉さんが立っていた。
「あ、あの…、こ、これは…っ」
成り行きで、とか
たまたま、とか
そんな言い訳は何1つ通じない。
逃げようとしたのがバレたら、今度こそ何をされるか…。
恐怖で目を閉じる私。
しかし、次の瞬間、私の体が宙にふわりと浮かんだ。
「あ…━━━ちょっ、し、椎葉さ…っ」
「何だ?風邪で立てないんじゃないのか?」
座り込む私の体を、意図も簡単に抱き上げてしまった。