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記憶にない初恋、その追憶
第2章 承-1
自暴自棄の心境に違いないタイミングで、彼の心の闇に忍び込むのは容易かった。
共に習う予定だった勘の良い弟は彼には寄り付かず、自然に私たちは二人きりの空間と時間を手にいれた。
演奏用の黒い椅子は、ベッドにするにはかなり小さい。
私は蓋をされた鍵盤に背を預け、大人の男を見下ろしていた。
メトロノームの音に合わせ、彼の長い指先が、未熟な乳房を揉みあげる。
上を向いた乳首に濡れた舌で吸い付かれると、切ないとしか言えない感覚が湧きあがってくる。
「はぁ…はぁ…っ」
誘っておいて羞恥心から無関係を装う私に降りかかる、それを責めるかのような激しい息音。
彼のもう片方の手に、鍵盤の上にある時の繊細さがないのが少し残念だ。
ズボンの中からはみ出たものを、乱暴にしごき続けている。
熱に浮かされた彼の顔。
私の瞳に目を伏せた彼が映り、それが苦しげなものに変化して、近づいて来た。
独奏のクライマックスに私は息をのみ、彼の舌までを飲み込みそうになる。