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記憶にない初恋、その追憶
第2章 承-1
つかんでいた肩が強張った。
いつの間にか重ねて握られていたもう一方のてのひらの中に、白濁とした液体が吐き出された。
肩で息を続ける彼の前で、その生温かいものを大切に両手で包み、私は舌を寄せた。
彼が鍵盤を自在に操る超能力者なら、私はつたない手品師。
全てを舐め終わり、両手を開けて消えた液体を披露する。
妖しい頬笑みを伸ばした両手で挟み、彼は薄い笑みと共に目を細めた。
たぶん後ろの死神が、詐欺師の正体を見破ろうとしている。