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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 嘉宣は橘乃の肩からそっと腕を外し、身を起こした。腹這いになると、枕許に置いてある煙草盆を引き寄せる。ほどなく、紫煙がゆらゆらと立ち上った。
「今宵のそなたは、格別であった」
 何を言うのかと思ったら、憎らしいことを言う。橘乃が黙っていると、嘉宣はニヤリと口の端を持ち上げる。
「そなたとは身体の相性が良いのかな、それとも、そなたが人一倍感じやすい身体をしているのだろうか」
「殿の意地悪」
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