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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 橘乃は軽く嘉宣を睨んだ。
「ふうむ、そうやって怒った顔も実に良い、そそられる」
 嘉宣は笑いを含んだ声音で言うと、ふいにまたゴロリと仰向けになった。
 橘乃に寄り添いながら、嘉宣が橘乃の肩を抱き寄せた。そのままの体勢で嘉宣はずっと天井を眺めている。
「何をお考えになっていらっしゃいますの?」
 深い意味はなく、ただ長すぎる沈黙がたまらなくなっての問いだった。
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