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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 粗相をしてしまったことで、更に母を激怒させ、嘉宣は乳母に抱きかかえられて這々の体でその場から連れ去られた。
 何故、自分だけが母に疎まれるのか。
 その悲痛な叫びは、今でも止むことはない。
 もう亡くなってしまった乳母が、その時、嘉宣をひしと抱きしめて〝お可哀想に〟と泣いていたのを朧に憶えている。
「俺は父に生き写しなんだそうだ」
 突然の言葉に、橘乃はまた眼を見開いた。
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