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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 その科白を裏返せば、
―橘乃、そなただけは、けして俺を裏切らないでくれ。俺の側から離れないでくれ。
 と、そう聞こえる。
 橘乃の心に愛しさが込み上げた。
「殿、橘乃は殿のお側を絶対に離れたりは致しませぬ」
 嘉宣が橘乃の胸に顔を埋める。やわらかな胸乳に貌を伏せ、もしかしたら嘉宣が今思うのは母の懐の温もりなのかもしれなかった。
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