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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
「いや、それでは俺の気が済まぬ。何でも良い、欲しいものを申せ」
 これでは押し問答だ。橘乃は弱り果てた。
 その時、庭の片隅に咲く女郎花が視界に入った。
「女郎花を」
「女郎花?」
 嘉宣がわずかに小首を傾げる。
「はい、お庭に咲いております女郎花を一輪だけ下さりませ」
「何だ、そんなもので良いのか。構わぬぞ、一輪と言わず何本でも持ってゆくが良い」
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