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第4章 　【弐】

　何故か浪江の眼が輝いている。嬉しげに見えるのは、気のせいだろうか。
「ああ、胃の腑がムカムカして、何も食べられぬ。それが―どうかしたのか」
　戸惑いながら訊ねた橘乃に、浪江がその場に手をつかえた。
「お方さま、おめでとうございまする」
「何じゃ、藪から棒に」
　橘乃は更に困惑した。
「まだしかとは申し上げかねますれど、お方さまはもしやご懐妊なさっておられるのではございますまいか」