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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
「懐妊―」
 橘乃は予期せぬ事態に眼を瞠った。
 考えてみれば、嘉宣の閨に召されて、もう五ヵ月が経つ。しかも夜毎褥を共にしているのだから、身籠もっていたとしても不思議はない。
「畏れながら、月のものは、いかがおなりでしょうか」
 浪江の控えめな問いに、橘乃は指を数えてハッとした。そういえば、月のものが大幅に遅れている。
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