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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 橘乃は、春瑶院が本気なのだとこの時、思い知らされた。嘉宣が何故、橘乃の懐妊を公表しなかったのかも納得できた。春瑶院が橘乃の懐妊を知れば、間違いなく橘乃を亡き者にしようとするに違いないと、嘉宣は初めから予測していたのだ。そして、図らずもその危惧は的中した。
 この事態を予測していながら、いざ現実となった今、いちばん衝撃を受けているのは嘉宣自身だろう。彼の胸中を思うと、橘乃は我が事のように辛かった。
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