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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 言葉の語尾には、やるせなさと憤りがよく表れていた。
「殿、何かの間違いやもしれませぬ。別の者が途中で薬をすり替えたとも考えられまする。どうか、あまりお悩みあそばされませぬよう」
 それが気休めにすぎないことは、橘乃にもよく判っていた。だが、傷つき、血の涙を流している男を前にして、真実を殊更突きつけることはできなかった。
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