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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第2章 【序章】
     【序章】

―前日も 昨日も今日も 見つれども
   明日さへ見まく 欲しき君かも―

 男が一人、庭を見つめていた。真紅に染め上がった無数の楓の葉が折り重なるように枝についている。その鮮やかすぎるほどの艶(あで)やかさは、いささか禍々しさすら感じるほどだ。
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