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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第2章 【序章】
 はらはら、はらはら。風もないのに、赤く色づいた赤児の手のひらを思わせる小さな葉が舞い落ちる。
 こうして縁廊に座して庭を眺めるのが今の嘉宣(よしのり)の日課である。そう、これからあと何年生きるのかは判らないが、己れは日々、ここで庭に茫漠とした視線を向け続けるのだ。
 やがて、生命の焔尽きるその瞬間まで。
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